秋葉：2011年に創(chuàng)業(yè)されて、2017年には中國(guó)eコマース大手のJD.comに數(shù)十臺(tái)のロボットを納入し、今回、75億円の資金調(diào)達(dá)を?qū)g施されました。ものすごいスピードで成長(zhǎng)されていますが、どこに成長(zhǎng)のポイントはあるとお考えですか。

滝野：MUJINという會(huì)社はロボットメーカーではありません。ロボットのコントローラを作っている、獨(dú)立系の産業(yè)用知能ロボットコントローラメーカーです。ロボットのコントローラといってもあまりピンとこないかもしれませんね。ロボットには動(dòng)きを制御するソフトウェアがあり、そのソフトウェア、つまり脳みそをつくっている會(huì)社です。少し語弊があるかもしれませんが、イメージとして、Androidは攜帯電話、Windowsはパソコン、MUJINコントローラは産業(yè)用ロボット、そういった位置づけだと思っています。MUJINコントローラでいろいろなロボットをつなぐことができるのですが、そこでただ繋げるだけでなく、知能化することができます。ロボットというのは勝手に動(dòng)いてくれるわけではなく、ティーチングしないといけません。そこを勝手に動(dòng)いてくれようにする、ティーチレスという技術(shù)を持っています。私たちのコントローラを産業(yè)用ロボットにつなぐと、8社ある大手ロボットメーカーの操作性が統(tǒng)一されて、ロボットがもっと賢くなります。

秋葉：ロボットメーカーがどこであろうと、同じロジックで動(dòng)かし、しかもティーチレス、つまり教えなくていいということですよね。これまでのロボット制御の考え方とはまったく異なりますね。

滝野：ロボットが賢くなると、その先にどんな仕事が待っているでしょうか。私たちのロボットが活躍できる産業(yè)はいろいろありますが、そのうちの大きな一つに物流があります。物流は、特にMUJINのティーチレス技術(shù)が非常に役に立つ産業(yè)です。自動(dòng)車工場(chǎng)でもティーチングの作業(yè)は大変ですが、例えば、生産ラインに同じ部品が流れてくるのであれば、ロボットの動(dòng)きが毎日変わることはありません。

秋葉：基本的にロボットは同じ動(dòng)きをすればいいわけですから、一度教えれば、しばらく問題ないということですよね。

滝野：そうです。ロボットをプログラミングする事（ティーチングする事）は大変な作業(yè)なのですが、一度ティーチングしてしまえば、多くの場(chǎng)合1年くらいは大丈夫です。ところが、物流では作業(yè)內(nèi)容が毎日違う、毎日異なる大量のSKUの指示がきます。しかも毎日100SKU増え、200SKU増え、トータル4萬SKU増えるとなったとき、誰がティーチングをするのでしょうか。だから、ロボットは今まで物流の世界に入れられなかったのです。ロボット自體は前からあって、ロバストな（頑強(qiáng)な）素晴らしい日本産のハードは実はあるのですが、脳がついてこないので物流で使うのは難しかった。そこにMUJINのティーチレス技術(shù)が入ったコントローラ、いわゆる脳をロボットに當(dāng)てはめたら、ロボットが自分で見て、自分で動(dòng)けるようになっている。それがわれわれの強(qiáng)みです。

秋葉：物流においては、極端な場(chǎng)合、毎日異なる業(yè)務(wù)が必要になったりします。これまで、ロボットが市場(chǎng)に広がらなかった理由はいくつかありますが、最も大きな理由は、「ロボットに動(dòng)きを教えたところで、教えた動(dòng)作を繰り返すだけ」だということです。MUJINの技術(shù)は、これを解決しました。

滝野：ティーチングしないと動(dòng)かないロボットに対し、ロボット自身に動(dòng)作を考えさせるのがMUJINのティーチレス技術(shù)であるモーションプランニング技術(shù)です。
MUJINの動(dòng)作計(jì)畫技術(shù)がロボットに入れば、対象物が見えるか目標(biāo)値を指定することで、人間のようにロボットが自動(dòng)で干渉回避まで考慮して勝手に動(dòng)作します。つまり、「より人間に近くなる」わけです。
2014年くらいに、物流でこの技術(shù)を生かせるのではないかと、いろいろなアプリケーションを作り出しました。現(xiàn)場(chǎng)では非常に苦労してきましたが、ここ1～2年の間に、デモではなく現(xiàn)場(chǎng)投入ができるようになってきました。大きいところだと、中國(guó)Eコマース大手のJD.com（京東商城)で、數(shù)十臺(tái)のピースピッキングロボットを?qū)毪贰⑼绀_設(shè)した大型物流倉庫の完全自動(dòng)化をサポートしました。日本でも、アスクル様、PALTAC様、エレコム様などいろいろありますが、去年からすべてが実ラインで動(dòng)いています。

MUJIN獨(dú)自のプラットフォームを構(gòu)築

滝野：MUJINはデパレタイズ（パレットからばらしていく作業(yè)）だけをやっているわけではなく、パレタイズ（パレットへの積みつけをする作業(yè)）、ピースピッキング（品物を在庫から運(yùn)び出す作業(yè)）をするロボットなど、いろいろなアプリケーションを持っています。MUJINの何がそんなにスペシャルなのかというと、「ティーチレスな技術(shù)がある」ことも當(dāng)然ですが、一番の違いは「自分たちのプラットフォームを持っている」ことです。自分たちのOSというか、自分たちのプラットフォームの上にアプリケーションを作っているのです。
私たちのアプリケーションはたくさんあるのですが、たまにその一つを真似する會(huì)社が出てきます。他の會(huì)社では、たぶん一つのアプリケーションを作るのが精いっぱいなのでしょう。また、彼らはアプリケーションだけを作り、それを他社のプラットフォームの上で動(dòng)かしているわけですが、MUJINはプラットフォームごと自分たちで作っています。簡(jiǎn)単に言うと、真似するような會(huì)社は目の部分だけを作って、脳みその部分、どうやって摑むか、どうやって動(dòng)かすか、どうやってバーコードを見るか、どうやって入れていくかなど、プラットフォームは全部他人のものを使っているのです。プラットフォームのレベルが低かったり高かったりすると、全體のソリューションも変わりますし、プラットフォームの部分がブラックボックスなので、上のアプリケーションだけがあっても細(xì)かい作業(yè)ができません。私たちが決定的に違うのは、自分のプラットフォームの上にアプリケーションを乗せていることです。

秋葉：アプリケーションレベルだけの場(chǎng)合、異なる作業(yè)を求められたときに、「いやそれは、プラットフォームの問題ですから??」となってしまいます。自社ですべてやっているからこそ、解決できますね。

滝野：お客様からしてみたら、現(xiàn)場(chǎng)は理論通りいかないものです。箱はこの大きさだと言われていたのに、來てみたら箱の大きさが膨らんでいたり、夏場(chǎng)には変形してしまっていたり、いろいろなことがあるわけです。そんなことは想定していなかったとおっしゃるのですが、それを想定していないと、普通はそこで自動(dòng)化は終わりです。出てきた図柄を認(rèn)識(shí)する場(chǎng)合でも、ロゴが國(guó)ごとに少しずつ違っていることがあります。人間であれば少し違っていても同じものだとわかるのですが、マシンビジョン的には違うものです。しかも、ロボットを使ったことがない人は、そんなことには気づきません。ですから、そうなったときにどうやって解決するかなのです。
自分たちだけでフルスタックで作るのと、アプリケーションだけを違う人のプラットフォームで動(dòng)かすのでは全然違います。どうやって置くか、どうやって押し込むかといったことは、目だけで改善できるものではありません。例えば、上から押し込んだときに少しでも大きさが違うと、先が當(dāng)たって滑ってしまうので、押さえながら押し込むといったことをしなければなりません。そうなったとき、本當(dāng)にアプリケーションだけで解決することは不可能でしょう。私たちは自分たちのプラットフォームという土臺(tái)の上に全部作っているので、誰にも頼っていません。中で何が起こっているか全部わかっています。
さらに、ティーチレス、モーションプランニングという技術(shù)がありますが、これは世界でも私たちしか持っていないものです。だからこそ、8社のロボットメーカーがMUJINにだけそうした制御をやらせてくれるのです。

秋葉：どのロボットメーカーも、ハードからコントロールする「脳」も自分のところで全部やりたいと思っていたはずですが、「プラットフォーム」という発想がなかったのでしょう。プラットフォーム化することで、初めて業(yè)界全體を視野に入れることができます。

滝野：だから、各社は自分のやり方でずっとやってきたのです。例えば、ある會(huì)社が「自分たちの方式が一番いいんだ。他の會(huì)社とは違う」と言っていたとします。ある日私が來て、「自分たちで作っていたものはいいかもしれませんが、特定用途ではこちらの方がいいです。これを使えば他社のものも使えますよ」と言ったとしたら、當(dāng)然嫌がる方もいるかもしれません。
物流で自動(dòng)化するとなったら、そこには私たちの能力が必要です。アプリケーションだけがあっても、ロボットをティーチングしなければならない、マニュアルにしなければならないという部分が必ず殘ります。目だけあっても、そこが従來のプラットフォームの上であれば、何かが変わるたびに人が必死に何度もやり直さなければなりません。ですから、私たちはそこから全部やっています。

秋葉：滝野さんたちの経験の中で、重量物であればこのメーカーのこれがいいのではないか、ピッキングロボットだったらこのメーカーのこれがいいのではないかという話ができますよね。荷主からすれば、ちゃんとした動(dòng)きを速くしてくれればいいわけです。それがコストが安ければ尚いいですよね。お客様にとっては、どこのメーカーではなければだめだという話ではありません。
仮にうまくいかなかったことがあった場(chǎng)合でも、コントローラが同じなので、MUJINのエンジニアがなぜうまくいかないかを考えて、コントローラ部分を直したらそれで大丈夫です。メーカーごとにそんなことをやっていたら、違うロボットを入れた瞬間にまた同じ問題が起こります。MUJINコントローラがロボットメーカーを問わないということは、賢くなるスピードも圧倒的に速くなります。言葉は悪いかもしれませんが、失敗や苦労の數(shù)は多いかもしれないけれども、その分早いスピードでソフトウェア技術(shù)の修得が上がっていくわけです。

滝野：例えば、自動(dòng)車の溶接ラインであれば、保全等いろいろと面倒なことがあるので、同じメーカーで固めたいと考えると思います。保全も自分たちでやるのでメンテナンス契約もしません。しかし、物流はメンテナンスをする人もいないし、そもそもロボットを使っていなかったからあまり気にしていないのです。

MUJINのティーチレス技術(shù)

秋葉：MUJINがすごいと思うのは、滝野さんもおっしゃっているように、一つはプラットフォームを作っていることです。産業(yè)用ロボットはどうしても垂直統(tǒng)合をしたがります。ロボット全體をどうやって制御するかというところに入ってくると、これはすごく大きいですよね。もう一つは、やはりティーチレスが圧倒的です。
ティーチングというのは、ロボットの関節(jié)の動(dòng)き一つ一つについて、動(dòng)作を分解して教えていかなければなりません。それを延々繰り返します。例えば、工場(chǎng)で溶接をしていたとすると、ものが流れてきたら、決まった位置にあるので、そこに向けて動(dòng)くだけで、極端に言えば1個(gè)の動(dòng)きをティーチングすれば終わりです。物流センターの中には、いろいろな種類の商品があります。商品を認(rèn)識(shí)しても、どういう狀態(tài)で箱の中に入っているかわからなかったら、ティーチングしようがありません。ということは、この商品はこんな向きだから、ここをバキュームで吸って持ち上げようということを、ロボット自ら判斷するしかないのです。箱の中にきれいに並べてあるのであれば、ここの位置のときの動(dòng)き、というふうにティーチングできるかもしれません。しかし、現(xiàn)実はそうではありません。1個(gè)の商品でもそうですが、パレットの上にいろいろな箱サイズの商品が積まれている場(chǎng)合でも同じです。持って行った先できれいに並べないと、人間がまた何かしなければならなくなり、ロボットを?qū)毪筏恳馕钉蓼盲郡ⅳ辘蓼护蟆?/p>

滝野：どんなメーカーのロボットでも、MUJINにはプラットフォームがあるので、同じような動(dòng)きになるし、ロボットが賢くなります。バラバラなものから取る、またバラバラに置く、きれいに置く、持ち替えて置くなど、すごく難しいことを全部自分で考えてやってくれるわけです。

ロボット導(dǎo)入の障壁となるティーチング

秋葉：物流ではいろいろな商材を動(dòng)かすのは當(dāng)たり前で、さらに商品の入れ替えが非常に激しいので、ティーチングしていたら、自動(dòng)化はほとんど進(jìn)展しません。しかも1個(gè)のティーチングをするのにけっこうな時(shí)間がかかります。

滝野：ものによりますが、まずは熟練の人が必要になります。ティーチングに熟練しているティーチングマンという専門職があり、普通の人ではできません。お客様からしてみたら、ティーチングは自分でせずにシステム開発會(huì)社が行いますから、そんなにたいしたことではないと思うかもしれませんし、その時(shí)點(diǎn)だけの判斷であれば、「ティーチレスに何の得があるのですか？お金も払って、ロボットももう動(dòng)いていますが？」となるかもしれません。しかし、最初はロボットが動(dòng)いていても、商品は日々増えていき、変わっていきます。形狀の異なる商品の場(chǎng)合もあれば、重量の違うものもあるでしょう。それが、毎日何百件と増えていけば、ロボットはそのたびに違う動(dòng)きをしなければなりません。積み方はこの通りにやってほしいなど、細(xì)かいことがいろいろあるのですが、それら全部、要件が変わるたびに定義し直さなければならないのです。ティーチングで頑張ることもできますが、本當(dāng)にそれをやりますか？という話です。

秋葉：極端に言うと、ティーチングをしているということは、実際に物を動(dòng)かしているわけでも何でもないので、フィーをもらえることはしていないわけです。全部の商品に対してそれを延々やり続けなければいけないとなると、導(dǎo)入が進(jìn)みません。

滝野：パートさん1人分のコストを抑えたいために、優(yōu)秀なエンジニアが2人必要になるといったおかしなことになるわけです。

秋葉：ところが、ロボットに自動(dòng)化の本質(zhì)を理解していないと、そういう考え方になかなかならないものです。物流の通常の業(yè)務(wù)フローがあって、WMSが動(dòng)いていて、この作業(yè)をこのロボットにさせようというとき、そこでコントローラがどう必要で、次はどういう課題が待っているのかいう発想にはなかなか到達(dá)しづらいと思います。
これまでは、この作業(yè)をロボットでやってもらいたいという発想からロボットの導(dǎo)入が始まっていたと思いますが、そもそも、そういう発想では進(jìn)まないということですね。

滝野：WMSが動(dòng)いていて、ピッキングがあって、それを自動(dòng)化したいとします。ロボット導(dǎo)入してすぐに動(dòng)いてくれれば何も考えなくていいのですが、今までは、ロボットを入れるとなると、ロボットのことを相當(dāng)知っているプロフェッショナルが必要でした。さらに、ティーチングで時(shí)間もかかります。コストがかかる、プロが必要、時(shí)間がかかる、さらに新しいものが入ってきたらやり直しです。

秋葉：お金をかけて、一瞬この作業(yè)だけはできるようになっても、こちらから持ってくるものが増えたとき、また同じことが起きてしまうということですね。

滝野：例えば、ロボットを1臺(tái)置いてデパレするとなると、カメラを付けたりして2500萬円くらいかかるとします。では、そのなかでロボット自體がいくらかというと、多くの場(chǎng)合、1割程度の費(fèi)用です。殘りの9割はどこにいくかといえば、そのロボットが使えるように教えるための費(fèi)用です。きちんと動(dòng)くようにするために、ほとんどのお金と時(shí)間をつかっているわけです。要は、人件費(fèi)やノウハウに対するフィーなのです。

秋葉：今まで、ロボットをいざ入れようと思ったら、その話になって、そこで進(jìn)まなくなってしまうことがよくありました。

滝野：流會(huì)社の擔(dān)當(dāng)者が変わるたびに、新しい擔(dān)當(dāng)者は「ロボットをすぐに入れたらいいじゃないか」と言います。それでロボットメーカーが業(yè)務(wù)內(nèi)容を見ると、「これは難しいですね。どこか良いエスアイヤーを探しましょうか」と言われることになります。

秋葉：ティーチングがずっと必要になる現(xiàn)実を知るわけですね。

滝野：それで、擔(dān)當(dāng)者は「やっぱりロボットはだめか」となってしまう。さらに1年くらいして新しい擔(dān)當(dāng)者になると、また同じことが起きる。やはり、會(huì)社の課題としてずっとあるわけです。人はいないし、人件費(fèi)は上がる。さらに、上層部からは「なぜうちは自動(dòng)化できないのか」と言われて続けます。
なぜ、そういうことが繰り返されるかというと、ティーチレスという根本が改善されていないからです。ロボットがあって、カメラがあったとしても同じです。ロボットは、カメラがあって見えていても、人間と違って動(dòng)けません。人間は見えたら動(dòng)けます。近くにあるペンを取ってほしいと頼まれれば、取ることができます。その取ったときの自分の手の動(dòng)きを覚えていないのが、人間です。ペンに手を置くとき、自分の手の何関節(jié)を何度ずつ上げたかなど覚えていませんよね。ところが、ロボットにはこれを教えなければいけません。それをしないと、ロボット的には「見えていますけど、動(dòng)けません」となります。ロボットからしてみれば、「どうやってやるか教えてもらっていません」と言ってきます。そんなパートさんがいたら困りますよね（笑）。そんなことではオペレーションは成り立ちません。

秋葉：先日の展示會(huì)でも、ロボットをじっくり見ているお客様のほとんどが、「1臺(tái)いくらですか」と聞いていました。そのとき、導(dǎo)入費(fèi)用は無視されているのです。

滝野：導(dǎo)入費(fèi)用と、あとは変化にずっと耐え続けられるかですよね。

秋葉：結(jié)局、ロボットをティーチングするということは、1臺(tái)1臺(tái)スペシャルなものを作るのと同じことです。商品が違うとか、置き場(chǎng)所が少し変わるとか、入れなければいけないケースサイズが変わるとなった瞬間、その都度スペシャルなものを作っているようなものなので、それにはお金がかかりますし、そんなことをしていたらキリがありません。