日本で初めての、普段著のレンタルサービスを立ち上げる

秋葉：「airCloset(エアークローゼット)」という、普段著に特化した、月額制のファッションレンタルサービスを日本で初めて展開(kāi)されていますが、どのようなきっかけでビジネスを始められたのですか。

天沼：私どもの會(huì)社は、私のほかにもう2人共同創(chuàng)業(yè)者がいて、その3人で立ち上げたのですが、全員がインターネット?ITが大好き、なおかつシェアリング?エコノミーの概念が大好きでした。加えて、一過(guò)性のサービスではなく、人のライフスタイルをより豊かにするサービスをやりたいと思っていました。そこで、衣?食?住のどこかの領(lǐng)域でサービス展開(kāi)がしたいと考え始めたのがきっかけです。
そして、ライフスタイルの課題を探り、人々の生活が豊かになるためには、たくさんのワクワク體験を提供することができればいいのではないかと思いました。ワクワク體験といっても山のようにあります。そのワクワク體験の中で、私たちは衣?食?住の衣、ファッションに著目をしました。 日々著る洋服に新しい発見(jiàn)や新しい出會(huì)いがあったら、きっともう少しワクワクしてファッションを楽しんでいただけるんじゃないか。でも、新しいファッションに、最近はどうやって出會(huì)うんだろう。そう考えたとき、「日常の中で自然と出會(huì)える機(jī)會(huì)はなかなかない」というのが答えでした。そうであれば、日々の生活はそのままに、リズムを変えることもなく、無(wú)理なく新しいファッションに出會(huì)えるような仕組みがつくれたら面白いということになり、ビジネスとして考えていった結(jié)果がファッションレンタルだったんです。
そして、「発想とITで人々の日常に新しいワクワクを創(chuàng)造する」をミッションにして、會(huì)社を立ち上げました。
もともと3人ともコンサルタント會(huì)社の出身でしたので、このビジネスの立ち上げを検討しているときには、ITを使ってバーチャルでファッションとの出會(huì)いをつくるのはどうかとか、自分たちでは在庫(kù)を持ちたくない、とか、最初はそんなことも思っていました。
しかし、検討を重ねていくと、最終的にはお客様が「ワクワク體験を持つ」ということは、実際に洋服を著用してはじめて感じることであり、自分との相性や周りからの評(píng)価、そして自分のクローゼットにある服との著合わせがたくさんできることを知ってもらえたときにワクワクするのだと思い、レンタルサービス業(yè)に行き著きました。

秋葉：ちょうど天沼社長(zhǎng)と出會(huì)う直前に、學(xué)生時(shí)代の友人の奧さんがスタイリストにお願(yuàn)いして、今まで自分が著ていたのとまったく違う服を著ているという話を聞いていました。髪型から化粧の仕方から何から何まで全部直されたそうです。その奧さんのことは學(xué)生のときからずっと知っているのですが、お會(huì)いしたときに、イメージがまったく変わっていました。実際にそういう體験をしていましたから、今のお話はよくわかります。
レンタルサービスでも、自分で選んでいたら、自分の守備範(fàn)囲の中で展開(kāi)していくことになるので、いつまで経っても変わりません。一方で、「選ぶ」という行為にスタイリストが入ることによってまったく違う発見(jiàn)になります。今までの自分が変わる可能性があるんです。それが広がるかもしれないし、まったく違う方向に行くかもしれない。そういう意味で、すごく面白いと思いました。具體的にはどのようなサービスになるのですか。

天沼：お客様からの目線でご説明すると、まず、ファッションのお好み、サイズ、好きな色味、スタイリストへのご要望も含めてご登録いただきます。基本的にはそれだけです。數(shù)日経つと、我々のスタイリストが洋服を3著選ばせていただき、ボックスに入れてご自宅にお屆けします。それを好きなだけ楽しんでいただいて、気に入ったらそのまま買える仕組みになっています。そうではないものは、返送用伝票が入っているので屆いたボックスに貼っていただきそのまま返していただくと、數(shù)日後にまた別のボックスが屆きます。ボックスが我々とお客さんの間で行き來(lái)するようなサービスを展開(kāi)しています。

秋葉：どのようなお客様が多いのですか？

天沼：お客様は20代後半から30代、40～50代まで幅広く使っていただいています。レディースに特化しており、9割以上が働く女性、4割強(qiáng)がママさんというセグメントです。働く女性やママさんの共通項(xiàng)として、「忙しい」ということがあります。忙しくて時(shí)間がない方に我々のサービスをご利用いただいています。
彼女たちは本當(dāng)に忙しい毎日を送られています。日々の生活の中で、ゆっくりファッション誌を見(jiàn)る時(shí)間がなくなった。ゆっくりテレビを見(jiàn)る時(shí)間が減った。ママになってそもそもショッピングに行く時(shí)間がなくなった。行けても抱っこひもをしたまま試著ができない。新しいファッションに出會(huì)ったり、新しい著こなしやコーディネートに出會(huì)ったりする機(jī)會(huì)が、そもそも減ってしまっているのではないかと感じました。そういった“出會(huì)い”をたくさんつくっていくことが、私たちの大きな目的です。お客様からも、「とにかくお得になった」という聲もありますが、それよりも、「新しいファッションに出會(huì)えた」「これは自分では選ばないけど、著てみたらすごく私に似合うという発見(jiàn)があった」など、そういった聲が多いです。

シェアリングは本質(zhì)的

天沼：我々のような、オンラインによるファッションのレンタル事業(yè)のスタートアップでは実際にものが動(dòng)くので、サービス品質(zhì)を高めようと努力すると、必ず物流が必要になってきます。そのために、オンラインビジネスのスタートアップにしては特徴的なのですが、我々は物流に特化したチームをつくっています。
通常のビジネスであれば、実際の倉(cāng)庫(kù)での動(dòng)きについては、基本的には委託して任せると思います。しかし、我々はそこを任せるだけではなく、実際にどれくらいの事業(yè)効率で倉(cāng)庫(kù)が回っているのか、レンタルが返ってきたときの品質(zhì)チェックの基準(zhǔn)はどうするのか、など様々なサービス品質(zhì)の項(xiàng)目について確認(rèn)しています。
それだけではなく、実際に洋服のメンテナンスやクリーニングなどもしていますので、そういった業(yè)務(wù)のレベルを上げるためのチームを獨(dú)自につくっています。さらに、先進(jìn)的な取り組みとして、効率化のためのロボティクスの活用というものもあります。DPL市川でもご一緒させていただいているGROUNDの宮田社長(zhǎng)はロボティクスの物流に特化されており、意気投合していろいろと話をさせていただきました。これから間違いなく業(yè)界の中でもガラッと変わる取り組みを考えているので紹介したい人がいるとおっしゃっていただいたのが、秋葉さんとの最初の出會(huì)いでした。
そのときに伺ったのがロジスティクスのシェアリングの概念です。そのときの率直な感想は、僕は最先端のことが好きなので、単純に面白いと思ったのはもちろんですが、それ以上に本質(zhì)的だと思いました。私は本質(zhì)的なものを目的にするのがすごく好きで、シェアリング物流はまさにその最たるものだと感じました。秋葉社長(zhǎng)がおっしゃるようにチャレンジングな部分もありますが、使いたい人が使いたいリソースだけ使える仕組みをつくりましょうという考え方はとても本質(zhì)的で合理的です。すごく真っ當(dāng)だと思いました。

進(jìn)むことが前提だから、意思決定は早い

天沼：倉(cāng)庫(kù)移転も含めたお話になるということは、その日に思いました。なぜなら、我々のサービスは現(xiàn)狀1箇所に集中して物流の管理をして動(dòng)かしています。すべてのアイテムがコーディネートを組まれる可能性があるので、物流の拠點(diǎn)としては1箇所で管理をするほうが効率的だからです。もし、こういった話で我々がご一緒させていただくのであれば、倉(cāng)庫(kù)移転も含めて大きく動(dòng)くと思いました。
ところが、実はそのとき、倉(cāng)庫(kù)移転をしてまだ1年ちょっとくらいのタイミングでした。普通に考えたら、通常3～5年はいるだろうという中での1年です。でもその日のうちに、一緒につくっていきたいという意思は十分にありましたので、調(diào)整をさせてくださいという話をさせていただきました。

秋葉：はじめから一緒にやるというつもりで僕もお話をしました。繰り返しになりますが、我々もベンチャーだし、スタートアップだと思っています。だから、過(guò)去の関係を重視されたり、慣習(xí)的なことを気にされたりする方々が相手の場(chǎng)合、その説得にすごく時(shí)間がかかってしまいます。一方で、進(jìn)むことを前提での會(huì)話であれば、やろうと思うかどうかの意思決定はすごく早くなります。やる前提の中でどのような課題を潰さなければならないのかという議論なので、そこはまったくスピードが違います。

天沼：実際に話が進(jìn)み、商品が動(dòng)き出すまでには、もちろん數(shù)ヶ月掛けて調(diào)整をしたり、相談させていただいたりすることはありました。しかし、「やりたいのか、やりたくないのか。やるのか、やらないのか」といえば、「やりたいし、やりましょう」ということでした。そこの思いは最初に感じたときから変わりません。
とはいえ、半信半疑でもありました。あの規(guī)模を持つ會(huì)社であるにもかかわらず、そこまでチャレンジングなものを打ち出して、実際にそういうものをつくるのだろうかと。本気でやるのであればぜったいに面白いし、我々も本気だと思っていたのですが、おそらく、このままの狀態(tài)が続き、數(shù)年後経ってから、「またあの時(shí)の話でやりましょうか」ということになるのかなと、最初はそう想定していました。
ところが、実際に動(dòng)いたときにはビックリしました。私の記憶が正しければ、その次の日にはやりとりをスタートして、驚くようなスピード感で動(dòng)いていきました。會(huì)社の姿勢(shì)としてそういう動(dòng)き方をされることがわかって、我々も本気で取り組みをしていこうと思いました。その結(jié)果、我々はどの社よりも早く全業(yè)務(wù)移転をさせて、すべてのアイテムを管理いただいています。

シェアリングするということは、コスト削減だけではなく物流品質(zhì)のレベルを高める

秋葉：荷物を預(yù)かるだけではなく、レンタルサービスをやろうとすると必ず物が返ってきます。その返ってきた物をどうするかというところが、天沼さんたちエアークローゼットのビジネスを成功させる非常に大きな要素です。
また、Eコマースにおける返品率もこれからますます上がっていきます。ロジスティクスの観點(diǎn)から考えると、返品されてきたときにどうするかが肝になります。私は、數(shù)年前にヨーロッパでOtto社の物流センターで返品専用センターを見(jiàn)たときから、日本でも絶対に必要になると思っていました。誰(shuí)もやっていないなら、私たちがこれを一番にやろうと思っていました。
返品に関する効率化を図り、なおかつ高品質(zhì)で行うことを追及していくことが天沼さんたちの事業(yè)の中で絶対に必要なわけです。そこは必ずシェアリングできると思っています。
さらに、現(xiàn)在、エアークローゼットさんも含めて様々な會(huì)社とのコラボレーションが生まれようとしています。また、さきほどお話した返品専用の機(jī)能などはさらに別の會(huì)社から評(píng)価されて、出荷は自社でやるけれども返品機(jī)能はシェアリングを活用したいと複數(shù)の企業(yè)から要望をいただいています。それだけ、皆さんが返品対策の機(jī)能を必要だと感じ始めたタイミングなのでしょう。

秋葉：シェアリングするということは、コストを削減できるだけではなくて、実はみんなが物流品質(zhì)のレベルを高めることができるんです。みんなが同じことをしていれば間違えることもないわけです。そうしたことも含めて、ロジスティクスの機(jī)能を、シェアリングという観點(diǎn)から見(jiàn)直す機(jī)會(huì)になっていくのではないかと思います。

第2回に続く