PRE
2025.3.28
地方活性化のためには、自治體の公共施設の再生は欠かすことのできない課題ですが、いま多くの地方自治體が保有する公共施設が経年によって老朽化しています。
國や地方公共団體が保有する公共施設は、1970年代に建設、整備されたものが多く、建て替えや大規模修繕は今後10?20年間に集中すると予測されています。
しかし、地方稅収は落ち込み、財源の確保は大きな課題です。今後、人口減少や少子高齢化等により、さらに地方自治體の稅収は減少することが予想され、効率化、集約、再編などの方法を駆使しながら、財政の負擔を軽減することが必要とされています。
少子高齢化は、公共施設利用の需要の変化も意味します。大半の地域で子どもの減少や高齢者の増加により必要な公共サービス、まちづくり戦略も大きく変化しています。総量の見直しに加えて、提供するサービス內容も住民屬性に合ったものに変える必要があります。つまり、將來の人口と稅収見込みを踏まえ、持続可能なまちづくりや地域活性化という観點から、公共施設の保有と利用のあり方を考えることが求められます。
地方自治體や地方公共団體、國が保有する公的な不動産を「PRE(Public Real Estate:公的不動産)」と呼び、これら不動産を有効活用し、戦略的に活用することを「PRE戦略」といいますが、このような背景の中、地方が活性化するためには、地域住民へのサービス、外からの來訪者も多く見込めるような施設求められ、公共施設を経営的な視點から、総合的に計畫、活用、運営していくことが必要となります。
本來、國や地方公共団體が不動産を保有する目的は、地域の住民に向けて安全な生活や成熟した文化施設を通して充実した暮らしができるように、公共サービスの提供などを行うことです。
しかし、昨今の厳しい財政狀況や人口減少の中では、公共施設の老朽化などへの対応と、活気に満ちたまちづくり、そして行政の効率化を同時に実現していくことは、とても難しいことです。そこで、行政と民間の連攜による創意工夫が求められるようになったわけです。
人口減少や少子高齢化社會において地域の活力を維持、強化していくためには、人が気軽に集まり、さまざまな活動に使える場が必要です。例えば、空き家など民間の不動産ストックに加え、廃校など使われなくなった公的不動産(PRE)も地域資源として積極的に活用するなど、使われていない公的不動産を有効活用することも必要でしょう。
その結果、地域住民の満足度を高め、まちがにぎわい、価値を高めることで、新たな投資やビジネスの機會が生まれることにつながっていきます。
現在、公的不動産においても、PPP/PFI※を通して、民間の資金やノウハウを活用するケースが広がっています。PPP/PFIは公共サービスに民間資金を活用する官民連攜手法で、「新たな官民連攜」の取り組みの柱となっています。「PPP/PFI推進アクションプラン(令和4年改定版)」では、2022年度からの當初の5年間を「重點実行期間」として、関係府省が連攜して支援策を拡充?重點投入するなどが盛り込まれました。
※PPP(Public Private Partnership)、PFI(Private Finance Initiative)は、公共施設の建設、維持管理、運営などを行政と民間が連攜して行う手法
國も、さまざまな施策を通じて、PREの積極的な活動を支援しています。2024年4月には、「官民連攜による地域活性化のための基盤整備推進支援事業(官民連攜 基盤整備推進調査費)」の2024年度 第1回配分として、地方公共団體が実施する9件の調査(道路?都市公園?市街地整備?港灣)の支援を決定しました。
一例を挙げると、支援が決定した「田子の浦港の新たなにぎわい創出に向けた基盤整備検討調査」では、事業費2,000萬円に対して、國費1, 000萬円が補助されました。
富士市南部に位置する田子の浦港は、1967年に重要港灣に指定されて以降、國際港として靜岡県東部?山梨県の経済産業を支える拠點として発展し、経済、観光において地域の重要な役割を果たしてきました。
2019年には、本港周辺拠點の漁協食堂?みなと公園?スポーツ公園が「みなとオアシス田子の浦」として登録され、各拠點がそれぞれにぎわいを見せていますが、周辺に休憩施設や拠點間をつなぐ基盤がなく、回遊性に乏しいため、エリア一體となったにぎわい創出が課題となっていました。
この課題の解決や今後増加が予想されるインバウンド需要のためにも、休憩施設整備や各拠點をつなぐ歩行空間および公園整備により、周辺地區と一體となったにぎわい空間である「プロムナードゾーン」の創出を目標とした事業計畫が提出され、採択されました。
國土交通省は、各地域の個性や強みを活かし、特色ある地域の成長を図るためには、官民が連攜し、民間の設備投資等と國や自治體による基盤整備を一體的に行うことが必要であるとし、ここでも、民間と自治體が連攜して取り組むことの重要性を挙げています。
そして、インフラ整備の事業化検討の支援として、以下の3點を挙げ、官民が連攜して策定する地域戦略に資する事業について、基盤整備の構想段階から事業実施段階への円滑かつ速やかな移行を支援しています。
民間事業活動と一體的に実施する基盤整備の事業化検討について、地方公共団體に対して、調査費補助を行う。(補助率1/2以內)
國土交通省所管(道路、港灣、河川、公園、市街地整備等)の社會資本整備事業の事業化を検討するための調査が実施可能。(例)基礎データ収集、需要予測、概略設計、整備効果検討等
基盤整備の事業化検討と合わせて、PPP/PFI導入可能性検討や具體的事業手法の選定などの調査も実施可能。(例)PPP/PFI手法の選定、官民の業務分擔、VFM(Value for Money:支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給する考え方)の算定等
地域におけるにぎわいの創出や、人々のコミュニケーションの活性化のためには、公共施設が擔う役割は決して小さくありません。また、公共施設の持続的な運営のためには、民間企業の持つ経済性、収益性のノウハウも必要不可欠です。すでに好例も出ており、官民が連攜した公共施設の新しい展開に期待が高まります。
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