コミュニティ施設「ちはら臺TENT(テント)」(千葉県市原市)地域の交流拠點を通じて、まちのにぎわいを持続させる仕組みづくり

大和ハウス工業は、1960年代に社會問題にもなっていた住宅不足を解決するため、全國に多くの住宅団地(ネオポリス)を開発しました。開発から50年以上が経過した住宅団地は、住まい手の高齢化や空き家の増加、地域コミュニティの希薄化などの課題が生まれています。そこで當社は、その課題を解決すべく、2014年にリブネスタウンプロジェクトを立ち上げ、まちの活性化に向けた取り組みを進めています。
その取り組みの一つとして、1989年にUR都市機構が開発した千葉県市原市にある住宅団地「City&City ちはら臺」(約369ha)の公園內に、2020年、まちづくりの課題解決プロジェクトの一環で、當社は地域の交流拠點となる「ちはら臺TENT」を建設しました。まちができてから約30年という早期の段階で、當拠點を中心に、住民が自立的にまちを育み、まちの魅力を高め、外部からも人が集まる仕組みづくりができないかと調査?検討を始めたものです。地域の方々と様々な縁を繋げるなかで、地域に密著し支え続ける「循環型のまちづくり」を目指して、新たな取り組みを開始しました。
建設地概要
■ちはら臺
場所:千葉県市原市
開発年:1989年
敷地面積:368.9ha
世帯數:10,524世帯(2024年10月現在)
最多の居住者年代:40代
■ちはら臺TENT
所在地:ちはら臺公園內
面 積:229.76m2
テナント:飲食3店舗?貸しスペース
管理者:大和ハウス工業
施設利用者:地域住民ほか
ちはら臺TENT外観
ちはら臺TENT間取り図
シェアスペース
キッズスペースも完備(寫真左端)
カフェ(787 Coffee Roaster)
TENT SCHOOL(貸しスペース)
「ちはら臺TENT」は、どんなところ?
「ちはら臺TENT」は公民連攜のコミュニティ施設としてオープンしました。
當社が直接所有?運営しているこの施設は、“縁(えん) ”を1つのテーマにしています。「ちはら臺TENT」の名前の由來も、 “縁(EN) ”が生まれる皆の家にしたい、という想いから名付けられています。
この施設から、趣味や學び、子育て、起業など、様々な“縁”がつながるイベントやコミュニティ活動に取り組んでいます。
ちはら臺TENTでは、地域の內外から、美味しいケーキやハンバーガーなどと一緒にお喋りを楽しみに來る人や、放課後におもちゃや遊具などで遊ぶ子どもたち、ペットの散歩途中にテイクアウトのコーヒーを片手にデッキでお喋りする人など、日常的に多様な方が楽しんで利用しています。
また、施設內には「TENT SCHOOL」という貸しスペースがあります。ここでは、ヨガやダンスなどの健康レッスンのほか、フラワーアレンジメントやロボット教室などさまざまなジャンルのスクールが地域の事業者によって開校されています。
施設の前に広がる広場でも、アウトドアフェスタや打ち水大作戦、縁日、ナイトピクニックなど、季節に合わせた催しを、地域の方の協力を得ながら開催しています。
また、施設內では遊具の貸出しも行っており、コミュニティスペースではゲーム大會、広場ではスポーツ體験が定期的に行われるなど、暮らしを彩る場として活用されています。
歩行者専用道路
TENT SCHOOLの様子
縁日
ナイトピクニック
VISIONとMISSION
ちはら臺TENTを拠點とした循環型のまちづくりを実現するために、VISIONとMISSIONを掲げています。
- VISION
- 20年後も子どもの笑顔であふれるちはら臺
- MISSION
- 人と人、人と地域の縁(EN)を繋ぐ
循環型のまちづくり実現に向けて
まちが長年にわたって賑わい、価値を保つには、住空間として魅力的で、安心?安全であることに加え、コミュニティが育まれていることも重要です。そのためには、街路樹の手入れや防犯カメラなどの維持管理だけでなく、住民同士や地域外とのつながりを継続?発展させ、住み心地がいいまちだと地域の多様な方に実感していただく必要があります。今いる地域の子どもたちが成長して大人になっても、ちはら臺に住みたいと思ってくれるような「縁(EN)」をつくる事業を継続していきます。
「ちはら臺TENT」はコミュニティの1つの場として、縁を繋ぐきっかけを提供する施設であり続けることで循環型のまちづくりに貢獻していきます。今後、このまちで得たノウハウは、全國各地の新規開発事業に取り込んでいき、住み続けられるまちをつくるためのエリアマネジメントの1つとして提案していく予定です。
■ちはら臺での縁を繋ぐ施策案
-
ちはら臺公園を全力で
楽しむ!
住民參加型イベントの企畫?実行 -
既存地域活動への參加の
きっかけづくり、コラボレーション
出張〇〇、入門〇〇の企畫?実行 -
小中學校との共創イベント
地域の人たちが小中學校のイベントに參加できる -
施設の顔
コミュニティマネージャー
施設にて來客者に聲をかけながら、コミュニティ活動への參加を促す人がいる -
職業體験や自然體験などを
ちはら臺の子どもたちに繋ぐ
職業體験企畫
自然體験ツアー -
地域の情報発信
地域內外の活動やイベントの情報などが集まる場所にする
まちのみらいを支える「みらいサポーター」
「みらいサポーター」は、「ちはら臺TENT」のVISIONに共感した人が集まり活動を始めてくれたボランティア団體です。まちの子どもたちが安全?安心で楽しく暮らせるように様々なアイデアを出し合いながら、みらいサポーター自身も楽しんで活動をしています。
各種イベントを企畫したり、日々の暮らしでは、登下校中に車との接觸の危険性のある場所に、みらいサポーターが立ち、子どもたちと「おかえりー!」「こんにちはー!ただいまー!」と元気に聲を掛けあいながら、子どもたちの安全を見守っています。
■みらいサポーターの活動
縁日でのスマートボール
施設のオープニングイベントで大好評だった縁日を、夏休み期間にも定期的に実施しようと、スマートボールを設置。いつ出しても大人気の、みらいサポーターの定番メニューになっています。
公園の木に名前をつけよう!
TENTのリピーターの子どもたちと一緒に、公園內にある大きな木に名前を付ける活動を行っています。名付け親になることで、大きくなっても、この公園?このまちに親しみをもってもらいたいと願っています。
交通安全を見守る旗振り活動
ちはら臺には2つの中學校と4つの小學校があります。従來からの挨拶運動のおかげもあり、顔をみて地域の人と挨拶をすることで、何かあれば聲をかけやすい関係を作っています。
キッズアウトドアフェスタ
ちはら臺に住む子どもたちに向けて、ストラックアウトやすごろくゲームなど盛りだくさんのフェスタを開催しました。當日は700人近くの來場があり非常に賑わいました。
※大和ハウス工業と共催
みんなの聲
みらいサポーター 中野さん
このまちのVISIONは「20年後も子どもであふれるちはら臺」です。私は、これまで30年以上子どもに関わるボランティアに攜わってきた経験から、みらいサポーターになりました。子どもは育てられるのと同時に自らも育とうとしています。それを支援し、彼らが夢を持てるようにしたい。そこで、まずは子どもたちの登下校時の見守りとして旗振り運動を始めました。このような活動を通じて、最終的には1萬世帯の住民全員が顔見知りとなり、気軽にコミュニケーションがとれる関係を築き、さらには「ちはら臺ならではの特色ある文化活動」も創出できればと考えています。
みらいサポーター 大木さん
私は、社會人として組織の中で長く働いてきましたが、子育てが一段落したことを機に、自分のやりたいことをやってみようと思い、みらいサポーターを始めました。子どもたちの登下校時の旗振りでは、大きな聲で挨拶を交わし、ときに子どもから「いつも見守ってくれてありがとうございます!」などと言われると嬉しくなります。私自身もマンション管理の方が、お掃除をしている時に感謝を伝えるようになりました。みらいサポーターの活動は、自分たちでVISIONを決め、そのVISIONの実現に向けて何をするか等を皆で考え取り組むのですが、それがとても楽しいです。今後、この輪をどんどん広げていければと思っています。
東海林稔さん(787(なのはな)珈琲オーナー)
「ちはら臺TENT」への出店の話をもらった時は、施設の前にある広い公園がとても魅力的で、ほぼ即決しました。私は、この場所が地域で一番の憩いの場所となり、私の店も地域外からもお越し頂ける話題の店になればと考えています。また、787珈琲がこの地域に來たことで周辺のお店にも、いい刺激になり、地域全體が盛り上がるといいなと考えています。
櫻木たまきさん(TENT SCHOOL関係者)
私は、これまでちはら臺の近隣エリアで地域のお年寄りに向けたヨガ教室を開催してきました。身體のケアはもちろん、高齢者の方が地域で孤立しないようにとの思いも込めて、実施しています。教室を続けるうちに、受講生同士が友達になるなどの好影響が評判となり、開催場所が増加しています。ちはら臺でも地域の方々の心身のケアを長く続けていきたいと思っています。
まちづくりプロジェクト擔當者 田中
本プロジェクトは、社內でも前例が無い中で、スタートからたくさんの人とのご縁があり、そのおかげで進めることができました。皆さんには本當に感謝しています。今現在も、たくさんのお客様、子どもたちとのご縁を感じ、笑顔に囲まれています。
これからも、「ちはら臺TENT」がちはら臺の1つの魅力になるように、またTENTから地域活動が生まれるように、地域の様々な人と協力し合いながらイベントの実施や活動支援ができればと考えています。
今後、TENTで実踐したこと?経験したことを全國各地のエリアマネジメント事業に活かしていきます。そのために、私たちは引き続き、新たなことに挑戦し続けて參ります。