研究員のセカイ
中川の専門領域は建設用木材。だが現在は木材と鋼材を適材適所に用いたハイブリッド技術の研究開発を擔當しています。
描く未來像
中川の描く未來。
?そのタワーマンション、大型店舗、高層オフィスビルは、どこか溫かい。それは、梁や柱、床、壁、窓枠、そして建物を支えるブレース(筋かい)など、いたるところに木材が使われているためだ。
木の風合いが、心地よさと柔らかな印象を與える外観。觸れる部分から感じられる木のぬくもり。それらは、住む人、働く人に、安らぎと癒しを與えた。実際に、オフィスや店舗では、生産性や作業効率が向上したという。
すべてが木材でできているのではなく、芯材などには鋼材が適宜使われている。いわば、ハイブリッド技術だ。構造的に、従來の鋼材の建築資材と比較的簡単に置き換えられるのも大きなメリットだ。
環境性にも優れる。まず、鋼材やモルタルなどに比べ、製造過程でのCO2削減が可能。また、木材はCO2が固定された素材なので、活用すれば日本全體が排出するCO2量の抑制に貢獻できる。結果、環境に配慮した木材の利用が、SDGsやサステナビリティを推進する企業ニーズにも合致した。
人に安らぎや癒しを與え、強く、環境性にも優れる。そんなさまざまな特長を持つハイブリッド技術だからこそ、普及が進む。今では、住宅だけでなく大型物件にも當たり前のように使われるようになり、都市の姿を大きく変えようとしている。
それだけではない。ハイブリッド技術の普及により國産木材の利用が増えることで、植林から數十年を経てCO2吸収力が低下した木材が、活発に利用されるようになった。古い木が切られ、新しい木が植えられることで、森に循環が生まれた。さらに、木材ニーズの高まりは、日本の林業に以前のような活気を生み出そうとしている ?
そのような未來が、すぐそこまで來ている。
いま取り組むこと
2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定され、現在、建築物への木材の利用が活発化しています。
柱、梁、筋かいなど建材すべてが木材なら、當然、木材利用量は多くなり、CO2の削減や脫炭素社會実現に大きく貢獻できます。さらに、住宅より多くの建材を用いる大型物件であれば、それだけたくさんの木材を使うことが可能です。「ただ、日本ではまだ技術が発展途上のため設計負荷が大きく、純木造の大型物件の建設はあまり進んでいません(中川)」
大型物件で木材を使うための技術のひとつとして研究開発されたのが、中川が取り組む「木材と鋼材のハイブリッド構造技術」です。
?材と鋼材を適材適所で?いることで、構造的な負擔は?材単體より軽くなります。また、基本的には鉄?構造であるため、現在の鋼材を?いた建材と置き換え可能で設計負荷も軽減します。「この技術が普及し、?和ハウスグループ以外の?型物件でも活?されるようになれば、?材の利?はさらに進むようになるでしょう(中川)」
この技術は、木質構造が専門の中川と鋼構造が専門の先輩研究員が、「?材と鋼材は適材適所で使うべき」と意気投合することで?まれました。「いわば、専?分野を超えた研究員のハイブリッドですね」と笑う中川。
さらに、集成材メーカーの齋藤木材工業株式會社さまともコラボレーション。製造や施工の実務に関するさまざまなアドバイスをいただきながら、構造実験用の試験體の製造や実物件のブレースの製造について御協力いただき、研究開発を進めました。
こうして、木材と鋼材のハイブリッド構造技術第一弾として「木鋼ハイブリッドブレース」が完成。2020年にはウッドデザイン賞2020※を受賞しています。
齋藤木材工業株式會社さまや、素材を提供していただいた製材メーカーさまと接する中で、中川は林業の現狀や課題を聞くことになりました。「木材を使って數多くの建物を建設している企業グループの研究員として、林業に貢獻したいという想いを強くしました(中川)」木鋼ハイブリッドブレースはその第一歩。木材を適材適所に使う技術で日本の林業に貢獻する。その目標を実現するため、中川の研究開発は続きます。
中川 學(なかがわ まなぶ)
建築技術研究部 建築構工法グループ所屬
大學院工學部建築學科修士課程修了
2009年4月入社
※入社後、社會人ドクターとして同研究科博士課程修了、博士(工學)
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