
CASE15
醫療施設
渡辺病院
- 所在地:
- 鳥取県鳥取市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 4,772m2(3棟計)
- 竣工:
- 2018年3月
- 用途:
- 精神科急性期治療病棟(54床)、精神科救急醫療センター、畫像診斷センター
1953年の開設時より、その豊かな環境や周辺住民の方々からの理解が高いことが、入院患者様の療養環境に好影響を與えるとのお考えから、一度も移転することなく、當該地での醫療活動を続けてこられた社會醫療法人 明和會醫療福祉センター 渡辺病院様。
今回、新耐震基準への対応と時間外外來診療の充実を図るため、病棟を再構成。新病棟を含んだ3棟に関してスクラップアンドビルド方式の建て替え計畫を実行されました。
計畫のポイント
スクラップアンドビルド方式による敷地內での建設計畫
病院を移転しないで、そして一時的に病床を減らしたり、診療內容を縮小させることもなく、建て替えを実現するため、新たに1棟を新築し、2棟を全面改築する形で機能を継続させながら円滑に建て替え工事を完了しました。

(1)著工前

(2)敷地東側に駐車スペースに(新)東館を建設

(3)外來?管理部門を東館に移転。本館は解體

(4)本館の建て替え工事完了

(5)新しい本館に外來?管理部門を再移転。東館を病棟仕様に改修後、舊東館の病棟機能を移転。舊東館は解體

(6)舊東館の建て替え工事完了(新北館に名稱変更)。東館から病棟機能を再移転。東館は再び改修工事を行い、精神科救急醫療センターと畫像診斷センター、急性期治療病棟を整備
新設の「(新)東館」を活用し、外來機能をより強化
新たに建設した(新)東館の1階部分には、精神科救急醫療センターと認知癥および高齢者の精神疾患の鑑別診斷にきわめて有用な「核醫學的検査」を行う畫像診斷センターが整備されました。

(新)東館1階に設けられた精神科救急醫療センターと畫像診斷センター。
療養環境と職場環境の改善を実現
病棟には個室を増やし、病棟?外來を通じてアメニティに十分配慮。また、スタッフの意見も最大限取り入れ、職場環境の快適化につながる設備を導入しました。さらに、病院敷地內の緑化を進め、暖かい心安らぐ醫療環境の創造に努めています。

東館2?3階の急性期治療病棟の病床。今回の建て替えでは、個室の割合を増やされました。
お客様の聲
9つのパビリオンの有機的な連攜を実現し、
將來に向けた課題解決のための建て替えプロジェクト

社會醫療法人 明和醫療福祉センター 渡辺病院 理事長?院長
公益社団法人 鳥取県醫師會 會長 渡辺 憲様
今回、長年の懸案であった舊耐震基準の渡辺病院の2棟の耐震性向上を目的に、2015年度から建て替え計畫に著手。建設にあたり、どこか他所に大きな建物を建て移転するのではなく、周辺環境に恵まれた病院開設の地であるこの場所に病棟を整備し、新しい時代に対応するような機能を持たせることが肝要であると考えていました。用途地域など、土地にさまざまな制約がある中、大和ハウス工業さんには多岐にわたり協力してもらいながら完成に至ったことは、とても喜ばしい限りです。
実は、計畫當初から「精神科の救急醫療に力を入れていこう」という構想がありました。それを建て替え計畫と同時並行で実現できたのも、大きなポイントとなったと思います。ただ単に建て替えるのではなく、何か將來に役立つ機能を付加価値として持たせていくことが重要であり、新病棟には20年~30年後の地域醫療のために、外來機能の充実につながるプランを盛り込みました。
その付加価値の一つが、(新)東館の1階部分に整備した精神科の救急醫療センターと畫像診斷センターです。救急醫療センターは、外來診療から入院治療に至る當院の急性期醫療の中心という位置づけで、既存の外來機能と統合し幅広く多くの患者様への対応が可能となります。また畫像診斷センターは、アルツハイマーやレビー小體型認知癥等早期の診斷のため、脳の機能を核醫學的な検査により、統計解析して畫像表示する機器を導入しました。これは一部の総合病院では設置されていますが、精神科の病院ではほとんど例がないと思われます。認知癥の専門醫療に30年近く取り組んでいる當院にとって、新たに強力な機能が加わりました。
大和ハウス工業さんには、過去にウェルフェア北園渡辺病院の本館およびアネックス南館、さらに、福祉部門のグループホーム等の設計?施工もお願いし、その実績と信頼性を実感しておりました。さらに、良い點と思うのは、住宅の建築実績が豊富であることです。病院として、入院患者様に快適で溫かい家庭的な雰囲気の療養環境で治療を受けていただくことは大切な使命です。また、スタッフもアメニティの優れた環境の中で働くことは、仕事のし易さやモチベーションを高めることにもつながります。そうした環境づくりに、大和ハウス工業さんの長年の住宅やマンションの建築ノウハウが生かされているのではないでしょうか。2~3週間に1度実施した建築の打ち合わせ會などでも、私たちの要望を幅広く具現化しながら、毎回遅い時間まで議論を交わし、細かなところまで詰めて設計?施工につなげていただきました。
3年もの長きにわたる工事に伴い、幾度も行った病院機能の移動?移転は容易ではありませんでした。患者様、スタッフに物理的にも、精神的にも負擔をかけたと思います。しかし、「よりよい治療環境、地域に役立つ信頼される醫療機関を目指す」という、しっかりとした理念?目標を病院全體で共有し、スタッフも患者様も深く理解の上、一致協力してくれたことで、きわめてスムーズに進んだと思っております。