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2024年3月にリニューアルしました。
連載:5分でわかる!サステナブルニュース
2025.2.28
私たちの生活の身近にあるコンビニ。今や社會のインフラともいえるコンビニで、新たにサステナブルな事例が生まれています。それが「店舗建材のリユース」です。大和リース株式會社は株式會社ローソンと共同で、閉店店舗の屋根?壁?柱?サッシなどの建築資材を新店舗の建築に再利用する取り組みを行っています。そのリユース率は、なんと9割。
新たな資源を極力使わず、環境負荷を減らす「サーキュラー建築」の典型例ともいえる「建材9割リユース」は、どのような経緯で始まったのでしょうか。大和リース本社設計推進部次長の犬飼正樹さんに話を聞きました。
リユース店舗の1號店として、2023年11月に「ローソン津山高野山西店(岡山県津山市)」が、続く2024年10月に「ローソン北上川岸3丁目店(巖手県北上市)」が2號店としてオープンしました。
再利用される建材の「9割」とは重量を基準に測定しており、「新店舗を建設する際の資材製造から建物が完成するまでのCO2排出量は、通常店舗の建設と比較して約6割の削減を見込んでいる」(犬飼さん)と言います。
大和リース本社設計推進部次長?犬飼正樹さん。
建材のリユース、そのきっかけは2011年3月11日の東日本大震災にまで遡ります。
「當時、被災者の生活を支えるために、ローソンは発災から41日後の4月21日に陸前高田市に店舗を開店したんです。その時に當社が擔當した仮設店舗が原點です。迅速に店舗設営ができるように、ローソンと大和リースが共同で軽量鉄骨を利用したプレハブ工法『DL-e(ディーエル イー)工法』を開発し、2013年にはローソンの標準的な店舗で導入されるようになりました」。
DL-e工法とは、モジュール化された指定の建材を現地で組み立てていく工法で、現場でのビス止めや溶接などの作業がなく、組み立てと解體が容易にできる點が特徴です。こうしたモジュール化されたパーツを、塩害や積雪仕様など6種類のタイプに分けています。
DL-e工法で建てられた店舗のうち、各種要件を満たした店舗が建材再利用の対象になります。
ローソンと意見交換を重ね、2013年以降は「建材の再利用」が実現可能かどうかを見極めるために、実証実験も進めてきました。
「実は建設業界だけで、日本全體のCO2排出量の3割を占めているといわれています。脫炭素社會の実現に向けて、環境に配慮した建材の利用や廃棄物を発生させないことが重要なのは間違いありません。2013年のDL-e工法導入以降、11年間で約3300棟も手がけてきましたから、その責任は大きい。ローソン側も同じ思いで、店舗もつくりっぱなしでは良くないと感じていました」。
もちろん、環境への配慮だけが理由ではありません。「リユースするわけですから、建材のコストも大幅に減ります。新規出店にあたって、大幅なコスト削減も実現できる一石二鳥のアイデアだと思うんです」。
店舗解體後は、全國にデポ14拠點、工場6拠點ある大和リースのデポ?工場(建物部材を解體入荷後、基準に沿った品質チェックを行い、 使用できるものは整備して繰り返し使用できるようにする建物リユースシステムの物流拠點兼加工?組み立てまでを一貫した流れで生産するシステム建築の生産拠點)に建材を運び、基準に沿って整備を行います。
ところが、実現に至るにはさまざまな実務的な課題があったと言います。
「最初に難航したのが基準づくりです。どの資材がリユースできるのか。建物の安全に直結する建築資材をリユースするためには、明確な基準を定める必要があります。一般社団法人プレハブ建築協會の運用管理指針や大和リースの部材管理基準などはあるものの、建材はすべてローソンの財産です。當初寄せられたような『傷や色あせなど補修すべきではないか』という要望をすべて葉えようとすると、限りなく新品に近づいてしまうのです」。
さらには"心理的な抵抗感"を払拭する必要もありました。すべての外壁パネルのリユースを提案した際、「本當に使い回して大丈夫か?」といぶかる聲が多く上がりました。犬飼さんが「このくらいの傷や色あせは補修で対応できる」と提案すると、「それでは、ほかの外壁と色が合わなくなる。やはり新品がいいのではないか」と返答が來ることもあったそうです。
再利用店舗の壁をよく見ると、ダクトの左上が同色の素材でカバーされているのがわかります。
「この取り組みは言葉を選ばずにいうと、新店舗に『中古品を使う』というもの。環境面やイニシャルコストが抑えられるメリットを差し引いても、難色を示す方はいらっしゃいましたね。何度、『エイジング』という言葉を使ったかわかりません。『ジーンズと同じで、エイジング加工を施すことにより風合いを楽しむ感覚です。劣化ではなくて、熟成と捉えてほしい』とお伝えして回りました」。
この思いに共感してくれたのが、再利用店舗1號店のローソンの擔當者でした。擔當者の盡力もあり、岡山から始まり、巖手と全國に広がり始めています。
「リユース店舗の意義や必要性について、思いを共にできたのは本當にありがたいことでした。ローソンだけではなく、社內のメンバーも一丸となって動いてくれた。こうして形になったのは、社內外の心強いチームのおかげです」。
根気強くプロジェクトを推進する犬飼さんの原點は、2011年の陸前高田市のローソンの仮設店舗の姿でした。
「店としては未完成だけど、人が殺到していて、コンビニが社會のインフラだってことを痛感したんです。當時、ローソンの社長が『今後のコンビニは、これで良いのではないか』と言っていたのを今でも覚えています。豪華さや派手さはないけど、その時に本當に必要とされる、コンビニの理想の姿だったと感じています」。
9割の再利用で注目を集めたローソンの店舗ですが、実はこの取り組みの以前から、環境負荷軽減に向けてさまざまな施策を講じているそうです。おもむろに犬飼さんは「ローソンの店舗って、天井高が10cm低いのは知っていますか?」と明かします。
実は、ローソンの天井はほかのコンビニに比べて5?10cm低い、2m60cmに設定されています。そうすることで建築資材や內裝材が少なくて済む上に、冷暖房の効率も大きく向上します。こうした知られざる取り組みもローソンと大和リースで協議を重ねて進めてきました。
「コンビニには、自分の欲しいものや必要なものが揃っているから足を運ぶと思うんです。消費者の方々は、外壁の色が少し違うとか、天井が10cm低いからといって『ローソンに行くのはやめて、ほかのコンビニに行こう』とは、きっとならない。きちんと耐震性や防水性を満たして安全であれば、天井高を下げても、店舗建材がリユースであっても、売上には影響しないだろうと思っています」。
そうしたフラットな視點から、「これからも社會や環境、そしてお客さまにとって良いことを考えて、新しい基準を一緒につくっていけたら嬉しい」と話す犬飼さん。今後、再利用店舗は年間5?10店舗のペースで展開されていく予定です。
大和リースとローソンが始めたサーキュラー建築は、単なる環境対策にとどまらず、日本の建設業界全體を変えていくのかもしれません。
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