
企業の不動産投資とCRE戦略(3)
中小企業における不動産戦略の5つの具體策とその事例
公開日:2019/06/28
具體的アクションのベースとなる現狀把握
具體的な不動産戦略を考えるときにベースとなるのは、自社において、下記1~5について適切に分析を行い、その結果をしっかりと認識することです。
1)企業業績、財務狀況の見通し
「企業業績が右肩上がりの狀況で、この先の 見通しがよい、そして財務狀況も問題がない」、という場合は、積極的に不動産投資を行う決斷をしてもいい局面です。新しいオフィスビルを買う、新しい工場を建てるなど積極的な設備投資がさらなる飛躍を生むことでしょう。逆に、いうまでもありませんが 「企業業績がよくない、そしてこの先も好転しない、また借り入れが多く、資金繰りが厳しい」という狀況下では、企業は、所有する不動産を手放すというアクションを検討する必要があるでしょう。
2)事業のライフサイクル
事業にはライフサイクルがあります。例えば、かつては當たり前のように存在した固定電話ですが、いまではずいぶん減りました。それ以外にも街から消えたビジネスは多くあります。昨今、金融?不動産業界でメディアを賑わせているのは、地銀のゆくえです。ゼロになることはありませんが、産業としての役割が減りつつあります。このような変化は、企業には抗いにくい波であり、企業は置かれた環境の変化に適合していかなければなりません。造船企業の保有不動産がタワーマンションの立體駐車場になっている例もあるほどです。企業は、環境の変化に対してさまざまな変革に取り組まなければなりませんが、変革のフレキシブルさの度合いには差があります。それは、社風というアナログ的な要因もあれば、大きな投資などが必要といった事業戦略の要因もあります。ただし、こうした変化は一定の時間を要するものです。賃貸物件などを保有していれば、その変化期間にも賃料収入があり、企業業績の下支えになります。
3)今後必要となる不動産の分析
今後の事業展開を踏まえて、必要となる工場や倉庫の配置、オフィスのあり方などの検討も必要です。 2000年代前半には、こうした見直しを行い、比較的都心部に近い場所にあった大手企業の大型工場が郊外に移転し、工場跡地は売卻され、大型マンションが建てられた例もありました。
4)財務內容における固定費の割合
不動産の新たな活用などの不動産戦略を行う際には、ほとんどの場合、大きな金額の借り入れが必要になります。しかし、固定費が多い場合、大型の借り入れなど、フレキシブルな動きはできにくくなります。
5)経済や不動産のマーケット狀況
最後の要因は市況です。経済狀況、金利など、不動産投資を行う際、フォローの風が吹いているのか、アゲインストの風なのかは、最後の決斷に重要な要因です。
具體的なアクション事例
不動産を所有する企業が行う、主なアクションは次の5つです。
1)遊休地活用
現在使っていない土地を遊ばせておくのはもっ たいないと判斷し、そこに賃貸物件を建築して賃料収入を得る、また、上記(3)の例のように、今後の展開を見越して、工場?倉庫の移転などを行い、空いた土地に賃貸物件を建てるなどの事例です。バス會社が比較的都市部にあったバス車庫を郊外に移転し、跡地に賃貸住宅を建てた事例や、鉄道會社が駅近くの空いたスペースに、駅隣接の賃貸住宅を建てた事例などがあります。
2)低利用地活用
都市部で比較的多く見られる事例です。自社ビルを建て替える際に、未消化の容積率があることを利用し、自社で使うスペース以外は、賃貸オフィスとして貸している事例は多くあります。東京、名古屋、博多駅前の中央郵便局が建てかえられ、KITTEというビルになっています。これらはかつて低層ビルでしたが、今では、高層ビルに生まれ変わっています。
3)コンバージョン
コンバージョンとは、リノベーションを行って用途変更などをすることです。例えば、使わなくなった社宅をリニューアルして、賃貸住宅にしたり、ホテルを賃貸住宅に用途変更したりする、といった事例があります。
4)新規購入
企業規模拡大に伴う、新たなオフィスビルの購入、工場の新設など、最もポピュラーなパターンです。
5)売卻
最後は、使わなくなった遊休地、未利用地の売卻です。企業の業績悪化というネガティブな場面でも起こりますが、所有する不動産の見直しによる、取捨選択を行い、より効率的に事業を行う一貫としての売卻という事例も多く見られます。
不動産は、自社が保有する資産としては最大級のものという企業が多いと思います。自社が保有するさまざまな不動産を上手く活用できるかは、業績に大きく影響しますので、しっかりとした分析に基づいたアクションを行うことが必要です。