～宮城蔵王からこんにちは～ 「　白い道　」

その７５　「　白い道　」

　みなさま、こんにちは。立春も過ぎ、暦の上では春のはずですが、見渡せば相変わらずの雪景色。ここ數年ほどサボっていた冬將軍が、面目躍如とばかりに頑張っているようです。

　　　　　　　　
　　　　
　「白い道」という素敵な曲があります。いわゆる抒情歌のジャンルに入る曲なのですが、原曲は外國の作品です。生粋の日本の曲だと思っていたものが、実は外國の曲に日本語の詩をつけたもの、ということはよくある話です。
　この「白い道」の原曲は、ヴィヴァルディの「四季」第４番「冬」の第２楽章です。歌詞を少しずつご紹介しましょう。

　　　　　　　　　?　どこまでも白い　
　　　　　　　　　　　　　ひとりの雪の道　?

　冬將軍の頑張りのおかげで、今年の冬は、雪の積もった白い道に事欠くことはありません。ここはリゾート內のホテルにほど近い白い道です。夕暮れですが、積雪のおかげでぼんやりと明るいですね。

　ヴィヴァルディの原曲にも詩のようなものが添えられていますが、日本語の詩の內容とは異なっているようです。「白い道」では、雪の日にお母さんと歩いた情景を懐かしむ內容になっています。

　　　　　　　　　?　遠い國の母さん今日も　
　　　　　　　　　　　　お話をきいてください　?

　「四季?冬」の第１楽章では、ヴァイオリンによって凄まじい吹雪の様子が奏でられます。第２楽章になると一転、「白い道」の歌詞のような穏やかな世界が広がります。リゾート內の夕暮れの雪は電柱の燈りに反射して、靜かに降り続きます。

　白い道がそこかしこで見られるような天候のときは、積雪の多い年と言えるでしょう。屋根に積もった雪や軒のつららも、溶ける暇もなく、再度の降雪?寒波によって更に高さを増し、長くなっていきます。
　　　　　　

　　　　　　　?　あれからもう３年すぎ　
　　　　　　　　　　この道にまた白い雪
　　　　　　　　　　　　サラサラ鳴ります　?
　
　遠い國の母さんというのは、たぶん天國へ行ってしまったということなのでしょう。お母さんと語らいながら歩いた思い出の道にまた冬が來て、以前のように雪が落ちてくる。降ってきたばかりの雪は純白で柔らかく、歩くとサラサラと音がして、まるでお母さんとの語らいのよう。

　この場所は、いつもの苔の道です。普段から通る人もあまりいない上に、この雪です。降り積もった白い雪の道に、誰かが通った跡も何の跡もありません。ただ靜かに、靜かに白い道があるだけ。

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　
　またいつもの絵葉書スポットの寫真です。山は四季折々に違った表情を見せてくれるものですが、當たり前のこととはいえ、冬の顔には厳しさがあります。春の優しさや夏の力強さ、秋の華やかさとはまた違った厳しさゆえの、孤高とでも表現できそうな美しさがありますね。

　「白い道」、嵐のあとの太陽の光を浴びたような、穏やかな素敵な曲です。たくさんの著名な歌手が歌っています。音源は、ネットですぐに見つかるはずですので、ぜひ一度お聞きになってみてください。そして、蔵王の白い道を頭に思い描いていただけたら嬉しいです。


※寫真は令和３年２月撮影